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世界を暴く

あまりうまくは言えないが

あまりうまくは言えないが、私はなにかを行なう時、なにをしようと欲することは特になく、ただそうしようと思ってそうするのだが、その行ないがなされたからには、ひとは私がそれを欲していたのだと指摘するのだし、それはそれとしてもっともなことなわけである。もっともなんだが、だからといって以前の私がそれをしようと強く強く思っていたという事実もないのだから、私の欲求はありながらないものとしか言いようがなくなる。で、この事態を迂闊に説明しようとするとそれは無意識だとか文化だとか記号だとかを徒に呼び寄せてしまいがちだから、私としては事柄の全体を、あまりうまくは言えないのだが、と前置きして、できるだけそのままに提示しようと欲するようになるわけである。