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世界を暴く

同級生応援団

同級生ってのは、ザコです。ゴミです。時代は妹とか異世界人です。特殊な背景を背負った女以外は女に非ず。同級生ヒロインみたいなパンピーはお呼びじゃない。すっこんでろ。

でもそれだと困るわけです。負け犬があらかじめ判然としすぎてると正妻戦争の緊張感が台無しです。同級生ヒロインにも、あれ、ひょっとするとひょっとしちゃう? みたいに思わせる要素がちょっとはないと困る。

そこで同級生な彼女たちはやや苦しいポジキャンを色々張られます。「平凡で家庭的なのが逆にレア要素だ!」みたいなね。で、今回俺が書きたいのはそれらポジキャンの中の一手法、俺が勝手に「同級生応援団」って呼んでるやつについてです。

ただ明るいだけの何の取り柄もない同級生ヒロイン*1ってのは、だいたい金魚の糞をひきつれてます。二人で喋ってるだけで「ひゅーひゅーお熱いねーお二人さん」みたいな煽り入れてくるクラスメイトAとか三枚目キャラとかです。一応はキャラ立ちもしてるような三枚目キャラに特に注目です。この手合いが同級生応援団です。

こういうキャラは、ふだんは三枚目なわけですが、同級生がらみのイベントを消化してく中で時々急にシリアスになったりします。「あんた、あんないい子を泣かせたら許さないからね」とかチョイマジで言ってくる。だるい。それ聞いて主人公も「たしかに~」とか「そういえばあの時の同級生ちゃん、あんないい子だったじゃんね~」とか考えます。そうなれば読者もそう思うかもしれない。ポジキャン成功です。

こういう健気な応援団は結構いろんな作品にいると思います。女友達とは限りません。バカ言いあってた悪友ポジの男が「俺だって同級生ちゃんのこと好きだったんだぜ……お前と同級生ちゃんとのお似合いっぷりにはかなわねぇな、と思って身を引いたってのに……」みたいなこと言いだすってのもあります。

つまり、総じて、ザコい同級生ヒロインを補強するために友人キャラが置かれてるってことがあるわけです。パターンとしてそういうのがあって、それを応援団と呼びたい。そういうことを考えました。まあ言ってしまえば当たり前だよね。誰かが既に言ってるとも思います。

で、これがある意味核心ですが、どう見ます、応援団?

作劇術としてはうまいと思います。最初にも言いましたが同級生ってザコいっすから。ポジキャンできる回路を確保しとくのは大切です。しかも応援団というこの手段は結構自然。文句なしって感じさえします。

でも俺はあんまり歓迎する気になれないんですよ。なんでかっつーとたぶん、外堀埋めて人を操作してOK、みたいな発想が透けて見えるのが嫌なのです。この倫理はちょっと微妙かもしれませんが、たとえ相手のためになるのだとしても、他人をマニピュレートするのは基本的に悪だと俺は思いますね。そういうわけで、俺、こういう応援団が周りにくっついてる時点で、自覚なくとも(あるいは自覚ないからこそ?)その同級生ヒロインのことはかなり嫌いになっちゃいます。これは俺が狭量なだけとも言いますが。

何が言いたいかっていうと、応援団(バスケ女)を自分から切り捨てた湯浅比呂美は(同級生ヒロインかというと違いますが)やっぱサイコーだってことです。

(30日追記。最後の一個前のパラグラフはわれながら混乱してると思う。俺は誰を嫌ってるんだ? 同級生? 応援団? 作者? さらにいうと、応援団って別にポジキャン要因ではないね。同級生まわりで葛藤作るための単なるフックであって、それ自体で関係構築・関係正当化につながるものではない。だから俺の話は、フックを外付けしなきゃいけないような凡な女がつまらんという話だったのかもしれない。そう書くとひどい話だが)

*1:俺が同級生ヒロインって呼ぶのは、同級生一般じゃなくてこういうタイプだけです。同級生っつってもクールだったりすると大抵なんか隠された属性がひっついてきて、《同級生》じゃなくなるから。