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世界を暴く

革命機ヴァルヴレイヴ#14 大気圏の兄妹

感想

脚本が、うまいかまずいかで言えばまずいのだと思う。大気圏に突入しようとする主人公たちは敵に気付かれ襲われるのだが、なんで気付かれたのかというと生徒会長君が画面をうっかり誤タップしたからである。そりゃないぜと思う。

で、その窮地を主人公たちはどうにか切り抜けるのだが、その切り抜けの手段というのが、一にぽっと出の新兵器であり、二に生徒会長の隠し芸である。どちらもこの回の中で唐突に持ち出されてきたもので、やっぱりそりゃないぜと思う。

このように、why? を差し挟んでくと無数に穴の見つかる話であるが、困ったことには面白い。生徒会長君とその妹との関係はなかなか感動的だし(これはイイ方の悠木碧だと思う)、敵の陣営でもクリムヒルトさん(この人イイよね、女教師風で)がハーノイン君と独自の動きをはじめててわくわくする。why? への答えは超雑なのだが、so what? の問いにはなかなか耐えるところのある話なのだ。憎めない。

セリフは凡なものが多かったが、新兵器投入時に先生が言う「使役してみるか? 使い魔ってヤツを」は面白かった。

流木野サキ全発言

今回は少ない。未見の読者向けに一応大枠の事情を説明しておくと、主人公たちは地球に降下しようとして小宇宙船で衛生軌道上のステーションまで向かっているところである。流木野サキさんというのは俺のアイコンの女の子。かわいいしかっこいい。CV: 戸松遥

その宇宙船内のメカ格納ハンガーでの一幕から。

「いい加減顔見せたら? 今まで通り文字だけってわけにはいかないでしょ」

宇宙船での旅に乗り出してもアキラ(スーパーハカーでヒッキーなダウナー系悠木)は自機コクピットにこもりっきりだ。彼女に対し、他のパイロットたちは、出てきて仲良くしようぜと皆で呼びかける。声をかける者の中にはもちろんサキもいて、そんな彼女の一言がこれ。あんまり思いやりとかなさそうなぶっきらぼうな口ぶりだ。ライバルヒロインの指南ショーコが、ウザ絡みの末にアキラとも打ち解けてたのとは対照的である。

「じゃあ作戦中は? 何でも先輩を通すんですか」

で、パイロットたちが一向にコクピットから出てこないアキラを半ば難詰するような形になっていたところ、アキラの兄である生徒会長サトミが現れ、「アキラは繊細なんだからコンタクトは私を通してにしてくれ」みたいなこと言う。でもアキラは色々あってサキたちと轡を並べるパイロットになってしまったのだから、それじゃ作戦中困りそうだ。そういう反問をサトミに対しぶつけるサキの口から出たのが上のセリフ。「ですか」は実際には「ですかぁ?」って感じで、かなり生意気不機嫌そうなニュアンスだ。戸松の持ち味がよく出ていると思う。

で、場面は少し飛んで、次はブリッジにおける地球降下作戦のブリーフィングから。

(自分の手のひらを眺めるハルト)
サキ「どうしたの?」
ハルト「急がなきゃ。まだ間に合うはずだから」
サキ「(何かに気付いたように息をのんで)……うん、そうね」

ハルト君が自らの吸血衝動を心配しているところである。面白いのは、人の血を吸わねば生きていけない身体になってしまったことについてハルト君がメッチャ罪の意識を感じてる一方で、同じ境遇にあるサキさんはあんま気にしてなさそうって点である。俺はこの点、サキさんの方がむしろ健全だと思うんだがどうだろうか*1

さらに言えば、吸血についてはあんま心配してないサキさんが、吸血について心配してるハルト君についてはめっちゃ心配してる、ってのはポイント高い(セリフには出てないが、めっちゃ心配そうな目を彼に向けてるのだ)。

最後。

「何言ってるのか全然わかんない!」

色々あって大気圏突入しながらの戦闘になった主人公たちは、どうにか敵を撃退するもアキラの6号機を回収できぬまま突入限界点を超えてしまう。ハルトはアキラを助けに向かうが、突入用シャトルに戻る前に活動限界を超えてしまう。彼女(と彼)はこのまま機体ごと燃え尽きてしまうのだろか?

そんなわけにはいかない! イジメに遭う妹アキラをこれまで見て見ぬふりしてきた兄サトミが、今こそはと奮起する。アキラを助けるよう指揮官エルエルフに詰め寄るサトミ。回線から漏れ聞こえてくるサトミのそんな声に心撃たれたアキラは生への希望を取り戻し、大気圏突入管制用の周波数帯をジャックする(この辺かなり意味不明な技術仕様な気もするが、ともかくそうなってる)。今からでもアキラとハルトを回収できる突入ルートにシャトルを乗せ換えるのだ。だが、傍受した管制通信は複数のものが混ざり合ってて、素人の耳には、「何言ってるのか全然わかんない!」。というサキさんの反応でした。完全に賑やかしです。今回彼女のセリフは以上ですべてです。

あらすじ解説の続きを付けると、なんとここで、Aパートで唐突気味に開示されてた「サトミは聖徳太子的に、複数の会話を同時に聞きとることができる」設定がいきなり使われて、管制通信を聖徳太子した兄サトミのおかげで妹アキラが救われる、よかったね、というもの。こう書くとクソっぽく響くが、実際のシーンはELISAのシンフォロックなEDイントロが被せられたりして激アツだ。一見を薦める。

当ブログはこれからも革命機ヴァルヴレイヴと流木野サキちゃんを応援していきます。

*1:これはヴァルヴレイヴというアニメのわりと根幹に関わる話でもある。このアニメの主人公ハルト君は、ロボに乗って戦うわけだが、「戦うべきか、戦わざるべきか」みたいに悩む際、「俺が戦うと誰かの血を吸わなくちゃいけなくなる……」みたいなこと言って悩むのである。それそんな重大な悩みかな? 「献血協力してくれ!」って言う時、別にそれ言う人は罪の意識感じる必要あんまないと俺は思うんだけど(まあこのアニメの吸血行為は、記憶とかそういうものも一緒に吸えるということになってるので、これは確かにちょっとハードル)。だからこのアニメ、主人公の動機構造の設定って点では失敗してるとこ大きいと思う。裏主人公のエルエルフ君が明快なおかげでかなり脚本は救出されてるが。